
樹種と座面生地を選んでいただくだけでお作りする、セミオーダーのスツールをお届けしました。
今回のお客様は遠方にお住まいのため、打ち合わせから納品まで、すべてオンラインで完結。
「オーダー家具は敷居が高そう」と感じている方にこそ読んでいただきたい、小さな一脚の製作記録です。
ご依頼いただいたのは、スウェーデンハウスにお住まいのお客様。
「玄関に置いて、靴の脱ぎ履きのときに腰かけられるスツールが欲しい」
というご要望とともに、玄関のお写真をお送りいただきました。
パイン材をふんだんに使った、ぬくもりのある住まいのご様子です。
座面には「赤の小柄の布地」をご希望。
空間全体の調和を考えながら、ご提案を進めました。

いただいた玄関のお写真を拝見すると、
土間の壁際には木の立ち上がりがぐるりと回っていました。
この立ち上がりは壁よりも厚みがあるため、
スツールを壁際に置くと、壁との間に少し隙間ができてしまいます。
そこで、座面を後方に数センチ張り出させて
壁際まで寄せられるデザイン変更も可能であることをお伝えしました。

一方で、玄関専用の形状にすると、室内の他の場所へ移動して使う際に
バランスが変わって見える可能性もあります。
こうした選択肢を整理してお伝えしたところ、
お客様は「玄関以外でも使える汎用性」を優先されることに。
「巾木の厚み分、壁から離れてしまう件、全く盲点でした」というお言葉をいただきましたが、
オンラインでいただいたお写真からでも、このような確認を一つずつ重ねられるのが、
オーダー家具ならではの進め方です。
座面の生地は、お客様ご希望のイメージ写真をもとに、
サンゲツ・シンコールのカタログから赤系の候補を選定しました。
椅子生地のカタログはインテリア向けの落ち着いたラインナップが中心のため、
イメージにぴったり一致する柄は見つかりませんでしたが、
その旨を正直にお伝えした上で、できる限り近い赤系・柄物をピックアップ。

あわせて、撥水・防汚・耐アルコールといった機能面の違いもご説明し、
実物サンプルをお送りしました。
ご高齢のお客様の来訪が多いというご家庭の事情も踏まえ、
お手入れのしやすさは大切な判断材料です。
ご家族で玄関にサンプルを置いて見比べていただいた結果、
最終的に選ばれたのはシンコールの椅子張り生地 ズコット。
最後まで迷われたもう一柄も北欧風の素敵な生地でしたが、
「玄関には明るい方が合う」というご判断でした。

図面や画像をAIに読み込ませて作成した3Dイメージ画像を共有し、
完成形のすり合わせも行いました。
オンラインでも、認識が大きくズレることなく、
打ち合わせが進められる時代になったと感じます。
サイズは幅40×奥行30cm、座面高39cm。
お使いになる方の身長をお伺いした上で、玄関での腰かけ動作を想定した、
低すぎず高すぎない高さに設計しました。

フレームはメープル無垢材、クリアオイル仕上げ。
明るい白木の木肌が、パイン材の内装に自然に馴染みながら、
玄関を軽やかな印象にしてくれます。
脚は下に向かってわずかに絞ったテーパー形状とし、
小さな家具ながらすっきりとした佇まいに。
座面はクッション性を持たせ、座り心地にも配慮しています。

スツールは当工房の家具の中では小さな部類ですが、
製作の手順はテーブルや椅子と変わりません。
無垢材の木取りから組み立て、座面の張り込みまで、一つひとつ仕上げていきます。
Instagramのリール投稿でこの製作風景を公開したところ、
普段の約10倍の再生数となり、多くの方に見ていただきました。
小さな家具づくりの様子も、こうして興味を持っていただけるのは嬉しいことです。
完成したスツールがこちらです。


メープルの明るい木肌に、ズコットの赤がよく映えます。
派手すぎず、それでいて空間に彩りを添える存在感。
パイン材の内装に溶け込みながら、玄関をぱっと明るくしてくれるはずです。
お客様からは、こんなお声をいただきました。
「あまりに素敵なスツールに、家族から思わず歓声があがりました。
座面を自分で選べたこともあって、注文から完成まで、
すべての工程をわくわくしながら楽しむことができました。」
今回のスツールは、基本デザインを当工房で用意し、
樹種(ウォルナット・チェリー・メープル・オーク)と
座面生地をお客様に選んでいただく「セミオーダー」でお作りしました。
フルオーダーに比べて打ち合わせがシンプルなので、
「オーダー家具は初めて」という方にもお選びいただきやすい方法です。
今回のように、オンラインのみでの打ち合わせにも対応しています。
セミオーダースツールのご相談・ご注文は、お問い合わせページよりお気軽にどうぞ。
生地のお持ち込みやご指定もご相談ください。
このスツールの製作中には、AIに完成イメージを描いてもらったり、
生地の名前がお菓子の名前だと気づいたりと、いくつかの寄り道がありました。
その裏側は、ブログ「ak-design story」にてご紹介しています。